ROCKET FILE 03 — EPSILON S
イプシロン
S
小型の科学衛星などを運ぶ固体燃料ロケット。第1段はH3のブースターSRB-3をもとに、ノズルを動かす装置を加えたもの。鹿児島県の内之浦から打ち上げます。新しい第2段の燃焼試験で2度の爆発を経て、実績あるモーターを使う計画に切り替え、2026年7月にその試験に成功しました。
最終確認 2026.10.16
ANATOMY
イプシロンSのしくみ
イプシロンSの第1段は、H3のブースターSRB-3がベースです。H3では向きを変えないノズルに、イプシロンSでは向きを変える装置を加えています。大型ロケットと部品を共通にすることで、費用を抑えるねらいがあります。
最初のブロック1では、第2段にM-35aを使います。先代イプシロンで実績のあるM-35を、設計や性能はそのままに、手に入らなくなった材料だけ置き換えたモーターです。運べる重さは、太陽同期軌道(高度約500km)に400kg以上。当初は600kgを目指していましたが、第2段を変えたことで見直されました。
THE ROAD
開発の道のり
第2段(E-21)の燃焼試験中に爆発
予定120秒の試験の約57秒で爆発し、試験棟が壊れました。点火装置が溶けて断熱材を傷めたことが原因とされています。
再試験でも爆発
種子島の試験場で行った2回目の燃焼試験も、点火から約49秒で爆発しました。
第2段をM-35aに切り替え
E-21は後回しにし、最初の機体(ブロック1)はM-35aで飛ぶことになりました。
M-35aの燃焼試験に成功
約130秒の燃焼を予定どおり終えました。
実証機の打ち上げ(目標)
日付と載せるものはまだ決まっていません。
EPSILON
先代イプシロンの記録
| 年月 | 号機 | 載せたもの | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2013.09 | 試験機 | 惑星分光観測衛星「ひさき」 | SUCCESS |
| 2016.12 | 2号機 | ジオスペース探査衛星「あらせ」 | SUCCESS |
| 2018.01 | 3号機 | 高性能小型レーダ衛星「ASNARO-2」 | SUCCESS |
| 2019.01 | 4号機 | 革新的衛星技術実証1号機 | SUCCESS |
| 2021.11 | 5号機 | 革新的衛星技術実証2号機 | SUCCESS |
| 2022.10 | 6号機 | 革新的衛星技術実証3号機ほか | FAILURE |
先代のイプシロンは2013年から6機を打ち上げ、5機が成功しました。6号機は姿勢の制御に異常が起き、指令破壊されています。
WATCH
内之浦で見るなら
内之浦(鹿児島県肝付町)では、これまで町が見学席を用意してきました。宮原見学場からは射点が見えます。早朝の打ち上げでは、3時間以上前に着いておく必要があったと報じられています。
宿が少ない地域なので、鹿屋市や鹿児島市に泊まって車で向かう人も多くいます。実証機の日付が出たら、見学の方法をまとめた記事を出す予定です。
- JAXA イプシロンロケット:https://www.rocket.jaxa.jp/rocket/epsilon/
- マイナビニュース イプシロンS M-35a燃焼試験:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260722-4728377/
- マイナビニュース イプシロンS 計画変更:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260205-4082042/
- JAXA 第2段モータ燃焼試験の原因調査(資料):https://www.jaxa.jp/projects/files/youtube/epsilon-s_SFT/jaxa_doc_20241125-01.pdf
- 科学技術振興機構 サイエンスポータル(2024年11月の試験):http://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20241127_n01/
- 秋田魁新報 M-35a燃焼試験:https://www.sakigake.jp/news/article/20260723CO0035/
- JAXA 内之浦宇宙空間観測所パンフレット:https://global.jaxa.jp/activity/pr/brochure/files/centers04.pdf
- Wikipedia Epsilon(打ち上げ記録の参照):https://en.wikipedia.org/wiki/Epsilon_(rocket)
